登録販売者として働くには、試験の合格と手続きが必要
登録販売者試験に合格し、販売従事登録をおこなう
「登録販売者になりたいけれど、試験に合格するだけでよいのか?」と思う方も多くいることでしょう。
登録販売者として働くためには、大きく以下2つの条件があります。
① 登録販売者試験に合格する
まず、年1回実施されている登録販売者試験に合格する必要があります。
以前は試験の受験資格として1年の実務経験が必要でしたが、2015年4月からの試験制度変更により、受験資格なしでどなたでも試験を受けられるようになりました。
② 販売従事登録をおこなう
試験に合格してもまだ登録販売者にはなれません。
合格後、勤務先所在地の都道府県に申請し「販売従事登録」をおこないます。
登録後にようやく登録販売者として働けるようになります。
正規の登録販売者として働くにはさらに実務経験が必要
試験は実務経験なしで受けることができますが、登録販売者として1人で売場に立つには、実務経験などの条件があります。
実務経験を積む時期は登録販売者試験の受験前・合格後いずれでも問題ありません。
もし受験前に必要な実務経験を積んでいた場合は、販売従事登録後すぐに登録販売者として1人で業務を担当できます。
試験合格後から販売従事登録までの手順や流れ
(1)合格通知書(合格証)の確認
まず、試験合格後、1週間~1ヶ月程度で合格通知書が届きます。
販売従事登録申請に必要な書類の1つとなります。
(2)一般用医薬品を販売する企業への就職
登録販売者として販売従事登録をする際には、一般用医薬品を販売している勤務先との雇用関係の証明が必要になります。
あらかじめ就職したい企業と面接をし、勤務先を決めておきましょう。
(3)販売従事登録申請に必要な書類の準備
合格通知書に同封されている販売従事登録申請書に必要事項を記入して申請をおこないます。
販売従事登録申請書を紛失した場合は、都道府県のホームページ、もしくは保健所等の自治体窓口で入手しましょう。
申請に必要な書類は複数あるため、不備のないよう事前に十分確認してください。
(4)勤務先のある自治体窓口で販売従事登録の申請をおこなう
勤務先のある地域の自治体窓口(都府県庁・保健所等)で販売従事登録をおこないます。
販売従事登録には手数料がかかり、都道府県により異なりますが、1万円前後の支払いが必要です。
(5)販売従事登録証の交付
申請書の提出から、2週間~1ヶ月ほどで販売従事登録証が交付されます。
これをもって、登録販売者として一般用医薬品販売の業務に携わることが可能となります。
登録販売者試験の合格後に合格通知書(合格証)を受け取る
試験合格後、1週間~1ヶ月程度で合格通知書(合格証)が発行される
自宅に郵送または受験手続きをした自治体窓口での受け取り
登録販売者試験の合格後に、1週間~1ヶ月程度で合格通知書(合格証)が発行されます。
合格通知書の受け取りは都道府県により異なりますが、自宅に郵送または受験手続きをおこなった自治体窓口(保健所等)に出向いての受け取りが多いようです。
合格通知書が手元に届いたら、同封されている合格通知書の受領証を確認します。
なお、受領証は必要事項を記入し、返送する必要があります。
万が一、合格通知書を紛失してしまった場合は再発行手続きをおこないます。
再発行した通知書が届くまでは販売従事登録ができませんので、紛失にはくれぐれも注意してください。
合格通知書の原本は、販売従事登録後の返還はありませんので、手元に残しておきたい方はコピーをとっておくとよいでしょう。
販売従事登録の前に就職先を決定する
就職先が決まらないと販売従事登録ができない
登録販売者として働くには、試験合格の証明や、一般用医薬品販売認可をうけている勤務先などを申告するための「販売従事登録」が必要です。
すでに就業中ということであれば問題ありませんが、そうでない場合、試験合格後に就職先を決めなければなりません。
登録販売者の就職先は?
よく知られているのが、薬局やドラッグストアです。
薬を専門に取り扱うため、登録販売者や薬剤師を必要とします。
最近では、スーパーやコンビニでも一般用医薬品が置かれるようになってきました。
そのため、求人の幅が広がり、以前と比べて就職がしやすい環境になりました。
登録販売者の待遇面はどのようなもの?
無資格者よりも給与水準が高く、福利厚生が整っている
登録販売者は売り手市場のため、無資格者と比べると待遇面がよい傾向にあります。
就業するエリアにもよりますが、入社1年目の登録販売者でも年収は300~400万円ほどになります。
実務未経験のパートやアルバイトの場合でも、時給は1,000円から1,200円程度が相場です。
基本的にシフト制の仕事ではありますが、福利厚生が整った店舗も多く、休みは週休2日、連休取得制度もあるなど、働きやすい環境となっているようです。
大手企業の店舗で働く場合は、ボーナスなども高い傾向にあるため、比較的安定した生活が送れるでしょう。
全国で需要がある
登録販売者の主な就業先であるドラッグストアやスーパーなどは全国各地に展開されており、地方に住んでいるから就職しにくいといったことはありません。
どの地域でも需要のある仕事といえるでしょう。
就職活動はどのようにおこなうのがよい?
求人サイトや求人誌を利用
まずは、求人サイトや求人誌などを利用し、自分で登録販売者の求人を見つける方法です。
最もオーソドックスな方法で、多くの方は求人サイトや求人誌を用いた就職活動をおこなっています。
給料や待遇などを比較しながら探すことが推奨されるでしょう。
店舗で確認する
また、もし近くに薬局やドラッグストアがあるなら、店舗に直接いくのもよいでしょう。
求人を募集している店舗では、求人の張り紙がされていることがあります。
転職エージェントを利用
最後に、転職エージェントの利用です。
エージェントであれば、利用者に合った求人を探してきてくれますし、相談も親身に乗ってくれるでしょう。
一人ひとりの希望をしっかりと反映させた就職先を見つけてくれるため、自分で求人を探すよりも安心です。
最近では、登録販売者に特化した転職エージェントもあるため、このようなサービスを利用するのも1つの手段です。
自分にあった就職活動方法を見つけて利用するとよいでしょう。
販売従事登録の申請をする
就職先が決まったら、次はいよいよ販売従事登録をおこないます。
そうはいっても、販売従事登録をどのようにおこなうのかわからない方も多いのではないでしょうか。
ここでは、販売従事登録の申請方法や必要書類を紹介します。
事前にしっかり確認しておきましょう。
販売従事登録はなぜ必要?
免許登録申請をしないと有資格者として業務ができないため
登録販売者は国家資格に準ずる資格で、都道府県が管理しています。
国家資格の多くは、有資格者としての業務をおこなう場合、その資格を管理している各省庁や都道府県に免許登録申請をすることが義務づけられています。
例えば、医療用医薬品を取り扱う薬剤師も、薬剤師国家試験合格後、厚生労働省が管理する薬剤師名簿への登録をしなければ、業務をおこなうことができません。
登録される前に業務をはじめると、免許取り消しなどの行政処分を受ける場合がありますので、必ず申請をおこないましょう。
販売従事登録の手続きは就職先が決まってから!
販売従事登録は、一般用医薬品を販売する店舗や企業への就職が決まってからでないと申請が通りません。
試験合格後すぐに登録できるものではありませんので注意しましょう。
販売従事登録の申請先は?
販売従事登録の申請先は、勤務先のある都道府県となります。
試験を受けた都道府県と勘違いされる方もいますが、勤務先がある都道府県ですので注意しましょう。
申請先ですが、都府県庁や自治体保健所等の薬務課と呼ばれる部署が窓口となっているケースが多いようです。
部署の名称は都道府県で異なりますので、事前にしっかり申請先を確認するようにしましょう。
なお、勤務先以外の複数の都道府県に、同時に申請することはできません。
販売従事登録が完了すると、2週間~1ヶ月程度で販売従事登録証が交付され、これが登録販売者として働ける証明書となります。
販売従事登録その他の注意点
一度販売従事登録をすれば、以降はほかの都道府県でも再申請することなく一般用医薬品の販売業務従事が可能になります。
もし販売従事登録証に記載してある本籍地や氏名、生年月日などで変更がある場合は、変更してから30日以内に書き換えの申請をおこないます。
また、紛失した場合は、販売従事登録証の再交付申請が必要となるため、忘れずにおこないましょう。
紛失した登録証が見つかった場合や、一般用医薬品の販売に従事しなくなった場合などは登録証の返還が求められます。
販売従事登録の申請に必要な書類
申請時に用意するもの
販売従事登録の申請をする際に必要な書類を以下にリストアップします。
販売従事登録申請書
登録販売者として問題なく従事できることを申請する書面です。
登録販売者試験の合格通知と一緒に送られてくるものを使用するか、都道府県のホームページや保健所等の自治体窓口で入手ができます。
登録販売者試験の合格通知書(合格証)
登録販売者試験の合格後に発行されます(自宅郵送または窓口受け取り)。
合格通知書は原本を出するため、残しておきたい場合はコピーをとっておきましょう。
戸籍謄本など本籍のわかる証明書
以下の証明書をいずれか1つ用意し、提出します。
- 戸籍謄本
- 戸籍抄本
- 本籍の記載のある住民票の写し(市役所等から交付されたマイナンバー記載のないもの)
- 本籍の記載のある住民票記載事項証明書(マイナンバー記載のないもの)
※いずれも発行後6ヶ月以内のもの。コピーは不可。
なお、住民票の写しおよび住民票記載事項証明書は、登録販売者試験の願書提出時以降に氏名や本籍が変更になっている場合は使用できません。
日本国籍の方は戸籍謄本または戸籍抄本の提出が推奨されるでしょう。
外国籍の方は、国籍等が記載された住民票の写しまたは住民票記載事項証明書の提出となります。
雇用証明書(使用関係証明書)
都道府県のサイトから書式を入手できますので、勤務先の企業に作成してもらいましょう。
医師の診断書(該当者のみ)
以前は販売従事登録をおこなう人全員に診断書の提出が義務づけられていましたが、令和3(2021)年8月1日「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」が改正・施行されたことで原則不要となりました。
現在は、販売従事登録申請書の「申請者の欠格条項(6)欄」に該当するおそれのある方(精神機能障害等)のみ診断書の提出が必要です。
書式指定のある都道府県に関しては、都道府県のホームページから書式を入手し、医師に記入してもらいます。
販売従事登録にかかる手数料【都道府県一覧】
販売従事登録は手数料がかかります。
金額および支払い方法(現金・証紙・キャッシュレス等)は都道府県により異なりますので、必ず事前に確認しましょう。
以下の表は、都道府県別の登録手数料と支払い方法の一覧です。
都道府県 | 登録手数料 | 支払い方法 |
---|---|---|
北海道 | 10,300円 | 北海道収入証紙 |
青森県 | 10,000円 | 青森県証紙 |
岩手県 | 10,000円 | 岩手県収入証紙 |
宮城県 | 10,000円 | 宮城県収入証紙 |
秋田県 | 10,000円 | 秋田県収入証紙 |
山形県 | 10,000円 | 山形県収入証紙 |
福島県 | 9,000円 | 福島県収入証紙 |
茨城県 | 8,000円 | 茨城県収入証紙 |
栃木県 | 8,000円 | 栃木県収入証紙 |
群馬県 | 8,600円 | 群馬県証紙または払込書払い |
埼玉県 | 8,700円 | 現金 |
千葉県 | 7,500円 | 千葉県収入証紙 |
東京都 | 7,300円 | 現金 |
神奈川県 | 7,600円 | 神奈川県収入証紙 |
新潟県 | 7,600円 | 新潟県収入証紙 |
富山県 | 10,000円 | 富山県収入証紙 |
石川県 | 10,000円 | 石川県証紙 |
福井県 | 7,100円 | 福井県収入証紙 |
山梨県 | 7,600円 | 山梨県収入証紙 |
長野県 | 8,100円 | 長野県収入証紙 |
岐阜県 | 10,000円 | 岐阜県収入証紙 |
静岡県 | 10,000円 | 静岡県収入証紙 |
愛知県 | 10,000円 | 愛知県収入証紙 |
三重県 | 10,000円 | 三重県収入証紙 (申請先の保健所にて購入可能) |
滋賀県 | 7,500円 | 滋賀県収入証紙 |
京都府 | 7,100円 | 現金・キャッシュレス (クレジットカード・ 電子マネー・ スマートフォン決済) |
大阪府 | 7,100円 | 現金・キャッシュレス (クレジットカード・ 電子マネー・ スマートフォン決済) |
兵庫県 | 7,100円 | 兵庫県収入証紙 |
奈良県 | 7,100円 | 奈良県収入証紙 |
和歌山県 | 7,100円 | 和歌山県証紙 |
鳥取県 | 7,200円 | 現金・キャッシュレス (クレジットカード・ 電子マネー・コード決済) |
島根県 | 7,100円 | 島根県収入証紙 |
岡山県 | 7,260円 | 岡山県収入証紙 |
広島県 | 7,100円 | 現金 |
山口県 | 7,130円 | 山口県収入証紙 |
徳島県 | 7,100円 | 徳島県収入証紙 |
香川県 | 7,400円 | 香川県証紙 |
愛媛県 | 8,600円 | 愛媛県収入証紙 |
高知県 | 7,100円 | 高知県収入証紙 |
福岡県 | 7,100円 | 福岡県領収証紙 |
佐賀県 | 7,100円 | 佐賀県収入証紙 |
長崎県 | 7,100円 | 長崎県収入証紙 |
熊本県 | 7,100円 | 熊本県収入証紙 |
大分県 | 7,100円 | 現金 |
宮崎県 | 7,100円 | 宮崎県収入証紙 |
鹿児島県 | 7,100円 | 鹿児島県収入証紙 |
沖縄県 | 7,100円 | 沖縄県収入証紙 |
※2023年6月記事執筆現在の情報です。
登録販売者の資格や販売従事登録に期限はあるの?
資格や販売従事登録に期限はない
登録販売者の合格通知書の効力および販売従事登録には期限がありません。
登録販売者として働く予定がなければ、無理に販売従事登録をする必要はないということになります。
正規登録販売者になりたければ、早めの登録がおすすめ!
販売従事登録に期限はありませんが、早めに登録をおこなうことが推奨されます。
理由としては、正規の登録販売者として承認されるには、店舗管理者要件を満たす実務経験(※)を必要とするからです。
実務経験の要件を満たすと店舗管理者や区域管理者になることができ、自立した登録販売者の業務がおこなえる(正規登録販売者)。
要件を満たさない間は、管理者による管理・指導の下でしか業務がおこなえず、管理者不在の場合は医薬品の販売ができない等の規制がある。
試験合格後のブランクが長いと採用されにくくなる
さらに注意点として、登録販売者試験合格後に就業せずブランクが長くなると、採用される確率が低くなるおそれがあります。
比較的法改正が多い業種であり、市販薬も常に新しいものが販売されています。
合格から就業までの期間があまりにも空きすぎた場合、試験に合格したときの知識と就業時の医薬品に関する情報が変化している可能性が大いにあるでしょう。
医薬品にまつわる知識をアップデートし続けるためにも、早めの就業と販売従事登録がおすすめです。
登録販売者を目指せるおすすめスクール
ヒューマンアカデミー/通信講座(通信)
パソコンでもスマートフォンでも、タブレットでも学習が可能!
スクールホームページ:
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まとめ
ここまで登録販売者の販売従事登録について紹介してきました。
販売従事登録をまとめると以下の3点が重要ポイントとなります。
- 登録販売者になるには、登録販売者試験の合格と販売従事登録が必要
- 販売従事登録は就職先が決まってから
- 申請に必要な書類が複数ある
登録販売者は取得しやすい国家資格に準ずる資格ということで、人気が高まっています。
また、近年薬を取り扱う店が増え、ニーズも増えている職業といえるでしょう。
登録販売者になるための第一歩は、資格試験に合格することです。
しっかり勉強して、試験をクリアしなければなりません。
登録販売者試験に早く、効率よく合格するためには、試験勉強をサポートしてくれるスクール講座を活用するのも1つの手でしょう。
まずは、試験の合格が目指せる登録販売者講座を探してみることをおすすめします!
参考 登録販売者の試験について
▼登録販売者試験合格が目指せるスクールはこちら▼
⇒ 登録販売者の通信講座
⇒ 登録販売者の通学講座(神奈川 / 静岡 / 長野 / 東京都区内 / 千葉)
⇒ その他エリアの登録販売者通学講座
監修者プロフィール
埼玉県生まれ。
登録販売者受験対策・薬膳・漢方医学教育の日本統合医療学園にて教務部長を務める。・・・ [続きを読む]