栄養士として公務員になることはできる?
栄養士として公務員になることは可能
公立の小中学校や特別支援学校の学校給食に携わる栄養士の場合、都道府県や市区町村の採用試験を受験し、公務員となることが可能です。
任命権を都道府県の教育委員会が持つケースと市町村の教育委員会が持つケースとがあり、それにより、県職、市職など扱いが異なるようです。
一部高校卒業程度のところもありますが、短期大学卒業程度という扱いで「栄養士」の専門職枠での募集が多いようです。
年齢制限がある
応募には栄養士資格以外に年齢の条件があります。
いくつかの採用試験案内を確認してみましたが、受験時に30歳以下というところが多いようです。
自治体によって違いがありますので、興味のある自治体の過去の情報を確認されることをおすすめします。
試験内容
試験内容は教養試験、専門試験、作文、適性試験、グループディスカッション、面接と多岐にわたります。
1次試験で教養、専門、作文の筆記試験をおこない、1次試験合格者に対し、適性、グループディスカッション、面接を2次試験でおこなうところが多いようです。
なかには、2次試験として集団面接、3次試験として個人面接を実施しているところもあるそうです。
教養試験は知識試験と知能試験に分かれています。
知識試験は一般的な文章題ですが、知能試験は数的推理といって、まるで謎解きのようなものが出題されます。
出題形式に慣れておくことができていないと、制限時間内に解くのは難しいかもしれません。
また、自治体のなかには「SPI3」といった適性検査を使用しているところもあるようです。
筆記試験に合格しないと次に進むことができないため、教養試験対策は重要であるといえるでしょう。
興味のある方は書店などで対策用の問題集を見てみると、イメージがつかめるのではないでしょうか。
実務経験者の場合
栄養士としての実務経験者の場合は、別枠で試験を実施しているケースもあるようです。
これには正職員扱いのものと非常勤職員扱いのものとがあります。
非常勤職員の場合、正職員と比べると待遇面では劣りますが、転勤の心配があまりないというメリットもあります。
冒頭でも触れましたが、仕事内容は学校給食に関するものが中心です。
予算や栄養価を考慮した献立づくり、調理、検食、給食室の衛生管理、食育に関する業務といったものがあります。
狭き門である
上記のように栄養士として公務員になることは可能です。
しかし、募集が若干名であり、事務職と異なり地域によっては毎年、栄養士枠の採用試験をおこなわないところもあるようです。
以上のように考えると、狭き門であるといえるかもしれません。
栄養士の就職先について
(1)保育園
公務員ではありませんが、社会福祉法人など公的なところが保育園を運営しているケースもあり、そういったところでは公務員に準じた給与体系となっているところもあるようです。
保育園の給食業務は学校の場合と異なり、お昼ごはんだけでなくおやつも考慮した献立づくりをおこないます。
保育園により異なる
調理、検食、衛生といったところは学校給食とあまり変わりはありませんが、特色ある保育園づくりをおこなっているところでは、食育に力を入れているところもあります。
園児と一緒に料理をする、食材を作るという意味で野菜の栽培に関する活動を園児とおこなったり、園児の喫食調査をおこなうこともあるようです。
運営母体もさまざまであるため、園によって仕事内容に差があるようです。
(2)福祉施設
福祉施設の場合も、運営母体が社会福祉法人など公的な所が多く、公務員に準じた給与体系のところも多い職場の1つです。
献立作成の面では学校給食とあまり変わりないかもしれませんが、調理では、利用者様の状況に配慮しておこなわなければなりません。
この点が大きく違う所だと思います。
工夫する点
口から栄養をとることは、唾液の分泌・脳の活性化から健康へとつながるといわれています。
そうはいっても、義歯や物の飲み込みといった高齢者の方ならではの問題があり、学校給食のように一様に同じ物を提供できない大変さがあります。
見た目を損なわずやわらかさを保った食材の工夫や、代替の食品で他の方と見た目を同じようにするといった工夫をおこなっているようです。
(3)レストラン
こちらで説明するレストランは一般的なレストランではなく、社員食堂的なものをご想像いただければと思います。
事例を挙げると、少し前に社員の健康に気を配った食事を提供する場として『タニタ食堂』がメディアで取り上げられましたが、社員の福利厚生の一環として、その職種にあわせてメニューを提供するところもあります。
肉体労働の多いところとデスクワークの多いところでは、必要となるカロリーも異なります。
そういった社員の健康に配慮し、かつ選択できる喜びも考えたメニュー作りを栄養士がおこなっているところもあります。
時には、おすすめの組み合わせや食事の工夫に関する掲示物やチラシを作って、社員の健康に役立ててもらうこともあるようです。
(4)食品メーカー
どの食品メーカーの自社の特色を打ち出すため、日々商品開発に力を入れています。
特に、最近では健康志向を受け、特定保健用食品や機能性表示食品も増えてきています。
他社との違いを明確にし、おいしく、手軽で安全な商品の開発に、食品化学系の他のスタッフとともに開発にあたっている方も多くいらっしゃいます。
また、栄養士は、開発だけでなく開発された商品をどのように売り出すかにも関わっています。
商品パッケージにアレンジレシピなどを掲載しているものがよくあります。
自社商品を利用したアレンジレシピの紹介にも栄養士が携わる場合もあります。
イベントに関わることも
その他企業活動の一環として、食育教室などを開くところもあるようです。
日々の業務以外のイベントでも栄養士が関わることがあるようです。
(5)学校給食
学校給食に携わる栄養士は公務員だけとは限りません。
近年では、給食センターのような民間企業が学校給食を請け負うことが増えているそうです。
業務内容は献立作り、検食、調理、衛生といったものなので、公務員の場合とあまり違いがないかもしれませんが、さまざまなところから給食センターへ依頼があるという点で、依頼元の予算や対象者(幼稚園、小学校、中学校など)を意識して献立作りをおこなわなければなりません。
例えば、公務員の場合は赴任した学校に対して献立を作りますが、民間の給食センターのようなところでは、調理は調理スタッフに任せ、栄養士1人でいくつかの依頼元の献立を考えなければならないこともあるようです。
同じ学校給食でも、上記のような違いがあります。
関連記事:
栄養士の仕事や業務内容を紹介します!
まとめ
いかがでしたでしょうか。
公務員以外にも公務員に準じるような職場もあります。
栄養士といっても、場所によって求められるものがさまざまです。
今回ご紹介したどの職場も「献立」には関わっているものの、対象者に合わせて栄養を考えていかなければならないため、その関わり方には大きな違いがありました。
今回、上記の各項目で紹介したもの以外にも少数派ですが、食に関連したセミナー講師の仕事や、大学での実習助手のような仕事もあるようです。
食は生活の基本です。
老若男女問わず関係のあるものです。
以上のように考えると、栄養士の活躍の場は今後ますます多様化し、必要とされてくるといえるのではないでしょうか。
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