ウェブデザイン技能検定とは?
Webサイト制作に必要な知識や技能・実務能力を問う国家検定
ウェブデザイン技能検定は、Webサイトを制作する上で求められる知識や技能が問われる試験です。Web業界唯一の国家検定であるウェブデザイン技能検定は、「特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会」により運営されています。
ウェブデザイン技能士になれる
ウェブデザイン技能検定を受験して合格すると、「ウェブデザイン技能士」という肩書が得られます。国家資格であるウェブデザイン技能士は、ウェブデザインに関する一定の能力を持っていることの証明です。履歴書や名刺などにも胸を張って記載できます。
3級~1級がある
ウェブデザイン技能検定には、3級・2級・1級の3つの等級が存在します。詳しくは後述しますが、2級と1級を受験するにはそれなりの学習経歴や実務経験が必要です。しかし3級であれば、それらの経験は求められません。3級の受験に必要な条件は、
「ウェブの作成や運営に関する業務に従事している者及び従事しようとしている者」
【出典 特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会「ウェブデザイン技能検定 受験資格】
という一点のみです。これからWebデザインの仕事に就きたいと考えている方やデザインを勉強中の学生なども受験できます。
取得するメリットとは
ウェブデザイン技能士の資格には、就職・転職時のアピールに使えるというメリットがあります。例えば、未経験の方がWeb関連の企業の求人に応募する際に、「3級ウェブデザイン技能士」と履歴書に書くことで、Webデザインに関する基本的な知識や技能を持っていることを証明できます。これにより、資格を持たない他の応募者よりも一歩リードできる可能性もあります。
もちろん、すでにWebデザインの仕事に従事されている方であっても、資格を取得して自分の能力を会社や顧客にアピールすることで、さらなる仕事に繋がる可能性もあるでしょう。
ウェブデザイン技能検定の試験範囲
3級・2級・1級共通の学科試験科目
ウェブデザイン技能検定の学科試験科目は、3級から1級まで共通です。しかし試験の中で問われる内容は、級が上がるにつれて難易度が高くなります。例えば「ウェブサイト運用・管理技術」の科目であれば、3級が「サイト管理」と「システム保守」の知識に絞られているのに対して、1級では「セキュリティ管理」、「アクセスログの管理」、「分析評価」が加えられています。
【1】インターネット概論
【2】ワールドワイドウェブ(WWW)法務
【3】ウェブデザイン技術
【4】ウェブ標準
【5】ウェブビジュアルデザイン
【6】ウェブインフォメーションデザイン
【7】アクセシビリティ・ユニバーサルデザイン
【8】ウェブサイト設計・構築技術
【9】ウェブサイト運用・管理技術
【10】安全衛生・作業環境構築
3級の試験範囲
実技試験
3級の実技試験では、「ウェブサイトの構築」として、ウェブサイトデザインとウェブサイト運用管理の設問が出題されます。ウェブサイトデザイン作業には、HTML、XHTML、CSSによるコーディング、画像やマルチメディアデータの利用、ページデザイン・レイアウト、アクセシビリティが含まれます。
尚、実技試験の解答作業には、受験用のPCを使用します。
学科試験
3級の学科試験で問われるのは、各科目の「基礎知識」や「一般的な知識」です。
設問の中には、過去の情報との比較なども含まれるため、常に知識をアップデートしておきましょう。
2級の試験範囲
実技試験
2級の実技試験では、3級の内容に加えて、画像やマルチメディアデータの利用だけではなく、作成や加工が追加されています。また、JavaScriptのファイル編集に関わる問題も出題されます。
学科試験
2級の学科試験の科目は、3級と共通です。ただし、3級よりもさらに深い知識が求められています。
HTMLやCSSに関する詳細な知識に加えて、望ましい作業環境についてや安全衛生の問題なども出題され、3級に比べると専門用語も多く出てきます。実務経験のある方でも入念な準備が必要です。
1級の試験範囲
実技試験
1級の実技試験のみ、「ペーパー実技」と「作業実技」とに分かれています。
ペーパー実技では、サイトマップやデザインモックアップ、遷移図の作成、データベースやテーブルの設計などが出題されます。
一方、作業実技ではウェブサイト構築の他、グラフィック素材の加工や利用、マルチメディアデータの作成、サーバサイドアプリケーションの作成などが追加されています。
学科試験
1級の学科試験は、2級よりもプログラミングに関わる設問が増える印象があります。例えば、コードの表記が正しいか誤っているかを判断する真偽法の出題割合が増えます。また、HTMLやCSSの記述から適切なものを判断する問題も出題されます。
ウェブデザイン技能検定の難易度・合格率は?
次に、それぞれの等級がどれくらいの難易度・合格率か解説します。
ウェブデザイン技能検定は1級・2級・3級の3つですが、その差はかなり大きいようです。
3級の難易度と合格率
- 難易度
- 易しい
- 合格率
- 約60%~70%
- 勉強時間
- 25~30時間程度(学科・実技ともに)
または実務経験1年程度 - 勉強方法
- 参考書、過去問
- 必要な機能やソフト
- ブラウザとテキストエディタ
ウェブデザイン技能検定3級の試験内容は、主に基本的な知識面の確認となります。Webサイトを作成する上で必要なデザイン能力はそれほど問われないため、初心者の方でも受験しやすいでしょう。合格率も約60から70%と高い傾向にあります。参考書や過去の問題を繰り返し学習することで、合格する可能性を上げることができます。
2級の難易度と合格率
- 難易度
- やや難しい
- 合格率
- 約30%~40%
- 勉強時間
- 学科:30時間~100時間程度
実技:10時間~20時間程度 - 勉強方法
- 参考書、過去問
- 必要な機能やソフト
- ブラウザ、テキストエディタ、Photoshop、Dreamweaverなど
2級の合格率は30%から40%程度と、3級に比べて低くなります。2級の学科試験ではWebデザインの知識が、実技試験ではデザインの実践力が問われます。そのため、知識と技能を満遍なく身につけておく必要があるでしょう。勉強時間は、ある程度の経験や知識を持つ方であれば30時間程度でも合格できる可能性がありますが(学科試験)、「心配な箇所をじっくり勉強したい」といった場合には100時間程度必要なケースもあります。
1級の難易度と合格率
- 難易度
- 難しい
- 合格率
- 約10%~20%
- 勉強時間
- 100時間以上(学科・実技ともに)
- 勉強方法
- 参考書、過去問
- 必要な機能やソフト
- ブラウザ、テキストエディタ、Photoshop、Dreamweaver、Apache、PHPなど
1級になると合格率がガクンと下がり、約10%から20%にまで落ち込みます。試験の難易度はかなり高いといってよいでしょう。1級の試験は出題内容の傾向が読みにくく、今までの実務や学習の中で培ってきた豊富な知識と高度な技術が要求されます。豊かな実務経験を持つ方であっても、それなりの勉強時間をかけて対策されることをおすすめします。
【2023年最新版】ウェブデザイン技能検定 試験日程
2023年 試験日程
ウェブデザイン技能検定は、1年に4回行われます。
ただし、1級の試験は学科・実技ともに1年に1回しか行われませんので注意が必要です。
ウェブデザイン技能検定の2023年度の試験日程は以下の通りです。尚、合格発表は各日程の正午から開始されます。
2023年 第1回試験※2級、3級のみ
試験日 | 2023年5月28日(日) |
等級 | 2級、3級のみ |
試験地域 | 【2級】東京都/愛知県/大阪府/福岡県 【3級】北海道/東京都(川崎市を含みます)/愛知県/大阪府/福岡県 |
合格発表日 | 2023年6月28日(水) |
2023年 第2回試験※2級、3級のみ
試験日 | 2023年8月27日(日) |
等級 | 2級、3級のみ |
試験地域 | 【2級】宮城県/埼玉県/東京都/愛知県/大阪府/福岡県 【3級】北海道/宮城県/埼玉県/東京都(川崎市を含みます)/神奈川県/石川県/愛知県/大阪府/岡山県/福岡県 |
合格発表日 | 2023年9月27日(水) |
2023年 第3回試験※1級学科試験、2級、3級
試験日 | 2023年11月26日(日) |
等級 | 1級学科試験、2級、3級 |
試験地域 | 【1級学科】東京都/大阪府 【2級】北海道/宮城県/埼玉県/東京都/神奈川県/愛知県/大阪府/福岡県/沖縄県 【3級】北海道/宮城県/埼玉県/東京都(川崎市を含みます)/神奈川県/愛知県/大阪府/岡山県/福岡県/鹿児島県/沖縄県 |
合格発表日 | 2023年12月25日(月) |
2023年 第4回試験※1級実技、2級、3級
試験日 | 2024年2月18日(日) |
等級 | 1級実技試験、2級、3級 |
試験地域 | 【1級実技】東京都/大阪府 【2級】宮城県/埼玉県/東京都/神奈川県/愛知県/大阪府/福岡県/沖縄県 【3級】宮城県/埼玉県/東京都(川崎市を含みます)/神奈川県/愛知県/大阪府/岡山県/広島県/福岡県/沖縄県 |
合格発表日 | 2024年3月19日(火) |
試験時間
ウェブデザイン技能検定の試験時間は、受験する等級によって異なります。
詳しくは以下の通りです。
等級 | 学科試験 | 実技試験 |
---|---|---|
1級 | 90分 | 180分/ペーパー実技試験60分 |
2級 | 60分 | 120分 |
3級 | 45分 | 60分 |
ウェブデザイン技能検定の受験資格
ウェブデザイン技能検定は、各等級によって受験資格が設定されています。特に2級、1級の受験資格は細かく定められているため、自分が条件に該当しているかをしっかり確認しましょう。
3級の受験資格
ウェブの作成や運営に関する業務に従事している者および従事しようとしている者
2級の受験資格
・2年以上の実務経験(※2)を有する者
・職業高校、短大、高専、高校専攻科、専修学校、各種学校卒業又は普通職業訓練修了(※3)した者
・大学(※3)を卒業した者
・高度職業訓練(※3)を修了した者
・3級の技能検定に合格した者
1級の受験資格
・7年以上の実務経験(※2)を有する者
・職業高校、短大、高専、高校専攻科、専修学校、各種学校卒業又は普通職業訓練修了(※3)
後、5年以上の実務経験(※2)を有する者
・大学(※3)卒業後、3年以上の実務経験(※2)を有する者
・高度職業訓練修了(※3)後、1年以上の実務経験(※2)を有する者
・2級の技能検定に合格した者であって、その後2年以上の実務経験(※2)を有する者
実技試験
”・1級の技能検定において、学科試験に合格した者(※1)
尚、受験資格内の「※1」から「※3」に関わる注意事項は以下の通りです。
※2:実務経験とは、ウェブの作成や運営に関する業務に携わった経験のことである。
※3:学校卒業、訓練修了については、卒業あるいは修了した該当科に協会が定めたウェブの作成や運営に関する科目等が含まれると協会が認めたものに限る。
【出典 特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会「ウェブデザイン技能検定 受験資格」https://www.webdesign.gr.jp/summery/conditions/】
試験免除基準
ウェブデザイン技能検定は「学科試験」と「実技試験」とに分かれており、それぞれに免除基準が設定されています。
1級の免除対象者と免除範囲
免除範囲 | 免除対象者 |
---|---|
1級の学科試験の全てが免除 | ・1級の技能検定に合格している ・1級の技能検定で学科試験に合格している(※1) |
1級の実技試験の全てが免除 | ・ウェブデザイン職種の指定試験機関技能検定委員を5年以上務めた経験がある ・技能五輪全国大会のウェブデザイン職種において、1級の技能検定合格者と同等以上の技能を有すると認められ、技能証の交付を受けた経験がある(※3) |
1級の学科・実技試験の全てが免除 | ・ウェブデザイン職種の指定試験機関技能検定委員であり、試験問題作成に係る職務に2年以上携わった経験がある |
2級の免除対象者と免除範囲
免除範囲 | 免除対象者 |
---|---|
2級の学科試験の全てが免除 | ・1級又は2級の技能検定に合格している ・1級又は2級の技能検定で、学科試験に合格している(※1) |
2級の実技試験の全てが免除 | ・2級の技能検定で、実技試験に合格している(※2) ・ウェブデザイン職種の指定試験機関技能検定委員を2年以上務めた経験がある |
2級の学科・実技試験の全てが免除 | ・ウェブデザイン職種の指定試験機関技能検定委員であり、試験問題作成に係る職務に2年以上携わった経験がある ・ウェブデザイン職種の指定試験機関技能検定委員を5年以上務めた経験がある |
3級の免除対象者と免除範囲
免除範囲 | 免除対象者 |
---|---|
3級の学科試験の全てが免除 | ・1級、2級又は3級の技能検定に合格している ・1級、2級又は3級の技能検定で、学科試験に合格している(※1) |
3級の実技試験の全てが免除 | ・3級の技能検定で、実技試験に合格している(※2) |
3級の学科・実技試験の全てが免除 | ・ウェブデザイン職種の指定試験機関技能検定委員であり、試験問題作成に係る職務に2年以上携わった経験がある ・ウェブデザイン職種の指定試験機関技能検定委員を5年以上務めた経験がある ・ウェブデザイン職種の指定試験機関技能検定委員を2年以上務めた経験がある |
尚、各等級の試験免除に関わる注意事項は以下の通りです。
※1:該当する学科試験の試験日が、学科試験の合格日より2年以内である場合に免除。
※2:該当する実技試験の試験日が、実技試験の合格日より2年以内である場合に免除。
※3:技能証の交付日が2016年以降である場合に免除。
ウェブデザイン技能検定は独学で受験できる?
独学でも合格を目指せる!
ウェブデザイン技能検定の中でも3級であれば、独学でも十分に合格が目指せます。ウェブデザイン技能検定の3級は受験資格がなく、学校や企業でのWebデザイン経験がない方でも受験することが可能です。また、Webデザインスクールなどでも、ウェブデザイン技能検定3級の受験対策講座を開講している学校はごくわずかです。必然的に、ウェブデザイン技能検定3級を受験する際には「独学で」という方が多くなります。
勉強時間の目安
ウェブデザイン技能検定3級を独学で受験する場合の勉強時間の目安は、25時間から30時間程度であるといわれています。ウェブデザイン技能検定3級を独学で受験、合格された方は、市販されているテキストで基礎的な事柄や専門用語を勉強し、過去の試験問題や練習問題を繰り返し解くことで対策されているようです。
もちろん勉強時間には個人差があります。学習をする中で疑問点について調べたり、苦手な箇所を重点的に復習したりといった時間がかかれば、その分だけ勉強時間も増えます。
ウェブデザイン技能検定の受験料
ウェブデザイン技能検定の受験料(受験手数料)は、等級により以下のように定められています。
級 | 学科試験 | 実技試験 |
---|---|---|
1級 | 8,000円 | 25,000円(ペーパー実技も含まれます) |
2級 | 7,000円 | 16,000円/25歳未満の在職者は7,000円 |
3級 | 6,000円 | 8,000円/25歳未満の在職者は3,000円 |
2級及び3級の実技試験には受験料の減免制度がありますが、「実施試験年度の4月1日において25歳未満」であり、「受験申請日に在職者であること」という条件が付きます。また、対象者は「雇用保険被保険者であること」という条件もありますのでご注意ください。
ウェブデザイン技能検定の出題形式や合格基準
ウェブデザイン技能検定の出題形式や合格基準は以下の通りです。
出題形式
学科試験
・マーク方式の筆記試験
・いくつかの選択肢の中から適切な解答を選ぶ「多肢選択法」と、2つ以上の項目の内容が合っているか間違っているかを判断する「真偽法」で出題される
実技試験
・与えられた課題に従って、実際にWebデザインを行う
・課題選択方式
合格基準
・100点満点中70点以上獲得すること(学科・実技ともに)
・1級は、学科合格者のみに実技の受験資格が与えられる
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まとめ
ウェブデザイン技能検定の概要や難易度、合格率などについてご紹介しました。
3級から1級まで難易度の違いこそありますが、どの級であっても合格すればその時点での自分のデザイン能力の証明となり、自信にも繋がるでしょう。
IT業界への就・転職時にもメリットの期待できるウェブデザイン技能検定。Webデザインの実務者はもちろんですが、「Webデザイン業界に興味がある」という方もチャレンジされてみてはいかがでしょうか。