図書館司書の給料・年収は?
月給17万〜18万円位、年収だと300万円前後が平均!
図書館司書の全体的な給料平均は月給17万円から18万円程度とされています。
年収では300万円前後が平均になります。
給料は契約形態や雇用主によっても大きく異なりますが、参考までに東京都の正規職員として司書に採用された場合の初任給を確認すると約18万円~19万円程度となっています。
なお、令和3年度の賃金構造基本統計調査によると、図書館司書が属する「その他の専門的職業従事者」の平均年収は約584万円という結果が出ています。
しかし、この分類にはカウンセラーや職業スポーツ従事者、ヘッドハンターといった様々な職業が含まれています。
図書館司書の実際の年収とは差がある可能性がありますので、参考までに留めておくと良いでしょう。
現在の求人から見る給与状況
2022年12月現在、求人サイト「求人ボックス」に掲載されている求人を確認すると、図書館司書の平均月収は20万円ほどとなっています。
アルバイト・パートや派遣社員といった非正規職員の募集も多く、時給1,000円~1,500円の求人が中心となっています。
働き方によっても異なりますが、手取りで換算すると月収10万円台前半になる方もいるようです。
出典
東京都 東京都職員2類3類採用試験案内
厚生労働省 令和3年度 賃金構造基本統計調査
給与は高いとはいえない
図書館司書として働いている方たちの声を見てみると、本が好きで司書になった方が大多数で、仕事自体には満足しているようです。
しかし、給与の低さには多くの方が不満を漏らしており、なかには20年近く昇給がないケースもあるようです。
キャリアを積んでも、新しく入ってきた司書と同等の給料しか与えられないという実態も聞かれます。
他職業との比較
ほかの職業の平均給与と比較して、どれほどの差があるか見てみましょう。
看護師を見てみると、平均月収は30万円前後、それにボーナスは50万円から100万円ほどのようです。
平均年収は450万円程で、図書館司書とは100万円以上の開きがあります。
一方で、一般事務の給与を見てみると、平均年収は250万円から350万円と図書館司書とそこまで大差はありません。
紹介した看護師・一般事務との給与差は、一般事務や図書館司書は非正規職員の数が多く、看護師は正規職員の割合が多いことも要因かもしれません。
働く場所による給料・年収の違い
図書館といっても、学生が利用する学校図書館と、市区町村で運営している公共図書館で種類が異なり、図書館司書の扱いも変わってきます。
公共図書館で働く場合の給料・年収
市区町村が運営する公共図書館においては、図書館司書は地方公務員(正規職員)としての採用か、パートなどの非正規職員としての採用かに分かれます。
地方公務員として採用される場合は、一般行政職として基本給が定められており平均給与は41万円程度です。
公務員ですので、ボーナスも支給され、年収にすると平均650万円近くになります。昇給も定期的におこなわれる場合が多いようです。
地方公務員となれば、図書館司書の平均給与を上回る好待遇を期待できます。
学校図書館で働く場合の給料・年収
学校図書館の司書として働く場合、小学校・中学校・高等学校の司書教諭としての採用か、学校司書としての採用に分かれます。
司書教諭として働く場合
司書教諭は地方公務員である教師としての採用になるので、給与も一般的な教師と同等の水準となります。
勤続年数にもよりますが、教師の平均月収は40万円程度。
一般的な図書館司書に比べると好待遇といえるでしょう。
司書教諭として働くためには、図書館司書の資格と別に教員免許も取得する必要があります。
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学校司書として働く場合
学校司書は司書教諭とは異なり、教師としてではなく学校の一般職員として採用されることになります。
常勤としての採用以外に非常勤として採用される場合も多いお仕事です。
2022年12月現在、求人サイト「求人ボックス」で学校司書の求人を確認すると、時給1,000円~1,500円程度の募集が多いようです。
司書教諭と比較すると、年収は減ってしまうでしょう。
学校司書として働くために特別な資格は必要ありませんが、求人によっては資格を持つ人を優遇する場合もあります。
司書の求人は人気があるため、図書館司書の資格を取得しておくと採用される可能性が高まるでしょう。
雇用形態による給料・年収の違い
上記の平均給与見てみると、図書館司書の平均給与の低さと計算が合わないことに気付くのではないでしょうか。
その要因は、図書館司書の仕事には非正規職員として働く方が多いことにあります。
地方公務員(正規職員)として採用された場合と、その他の非正規職員として採用された場合とでは給与面で大きな差があり、大多数の図書館司書は非正規職員であるのが現状です。
正規職員の給料
図書館司書が地方公務員として採用された場合は、平均月収40万円ほどになります。
初任給は20万円前後となる自治体が多いようですが、ボーナスや定期的な昇給で比較的安定した年収を得られるでしょう。
非正規職員の給料
非正規職員としての採用の場合は平均月収が12万円から17万円となります。
非正規職員の給与は時給と勤務時間から計算されることが一般的で、時給にして1,000円から1,500円程度が多いといわれています。
勤務時間が短いと、そのぶん月収・年収は下がってしまいます。
非正規職員は、正規職員と異なりボーナスが出ることはほとんどありません。また、大きな昇給も望むことは難しいのが現状です。
そのため、年収で見ると正規職員と比較して大きな差が出てしまうのです。
厳しい現状
雇用形態により給与で大きな差が生まれる図書館司書ですが、業務内容は正規職員も非正規も大差ありません。
業務量が多いにもかかわらず、職員の数は少ないため、各司書に大きな負担がかかってると現場から悲痛な声が溢れているケースもあるようです。
さらに、予算削減のあおりを真っ先に受けやすい仕事のため、外部業者にとってかわられたり、人員削減なども起きているようです。
非正規職員の場合、シフト制がとられていることが多く、土日休みはもらえず、あらかじめ決まった日以外は休暇が取りづらいとの声も見かけます。
そもそも図書館司書とは?
国家資格を持ち、図書館業務をおこなう専門職
図書館司書とは、図書館における専門職で、文部科学省の定めた国家資格の取得を必須とされる仕事です。
図書館にあるすべての本や資料を管理し、利用者への読書案内のほか、目的に応じた資料の選定や貸出・返却など、図書館でのすべての業務を担当します。
2種類の資格がある
図書館司書の資格は、「司書」と「司書補」の2種類がありますが、どちらも国家資格に定められています。
図書館司書補はその名が示すとおり、図書館司書の補助的な役割を担います。
図書館司書の2つの役割
また、図書館司書には大きな2つの役割があります。
1つ目は「利用者と資料をつなぐ」ことです。
すべての資料の管理を担い、蔵書を熟知することで利用者の目的にあった資料の提案などをおこないます。
こうして利用者と資料とをつなぐのです。
2つ目は、「人と本との距離を縮める」ことです。
この役割・目的を持ち、図書館で取り扱う資料の専門家として読書活動をおこないます。
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図書館司書の仕事内容
図書館司書は、本や資料の貸出・返却対応が主な業務のように思われがちですが、それだけではありません。
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図書館内業務
図書館で取り扱う資料はすべて図書館司書が選定し、発注や受け入れ、保管もおこなっています。
受け入れた資料を細かい分野ごとに正確に分類し、必要なときすぐに検索できるように目録の作成もおこないます。
こうして作成された目録は蔵書の管理に役立てるだけでなく、求められた資料を利用者に対し適切に提供するためにも活用します。
貸出から戻った本の整理や破損していた場合の対応、利用者へ館内システムを説明・指導することなども図書館司書の業務です。
館内装飾や設備管理
この他にも、館内の展示や利用者の利便性を向上させるための装飾、施設設備のコピー機などの管理もおこないます。
イベント参加
さらに、広報活動のような各種イベントへの参加や、視覚障害者の方などへのレファレンス業務(資料の検索・提供・回答)など、業務内容は多岐にわたります。
図書の普及活動のため館外業務もおこなう
図書館司書は館外業務もおこないます。
読書活動推進のための移動図書館活動や、地域行事への参加がそれにあたります。
さらに、学校などで求められる図書の貸し出し、本を紹介するブックトークなどの図書の普及活動など、教育機関との連携もおこなっています。
給料・年収アップを目指すなら
非正規職員の場合、契約更新時に打ち切られるリスクがあり、給与面での待遇も決してよいとはいいづらいのが現状です。
業務を誠実にこなし、現場職員の間で評価が高まったとしても、契約更新を決める上司が認めてくれるかは別問題になります。
また、昇給やボーナスがほとんど望めないことからも厳しい環境だといえるでしょう。
正規職員を目指す
給料・年収のアップを目指し、安定した雇用を望むのであれば、正規職員として採用してもらうための試験を受けることをおすすめします。
図書館自体が限られた数しかないため、正規職員としての募集枠も少ないのが現状です。
厳しい競争を勝ち抜く必要がありますが、非正規職員との待遇差は大変大きなものになります。
図書館スタッフとして勤務する場合、資格がなくても働くことが可能です。
しかし、正規職員として就職するためには図書館司書の資格が必要になる場合がほとんどです。
司書は、正規職員として採用されれば長く安定して働けるお仕事です。
そういった働き方を目指したいという方は、図書館司書の資格取得を検討することをおすすめします。
勤務場所を検討する
また、勤務場所に関しても一考する必要があるでしょう。
地方自治体の図書館だけでなく、大学の図書館や国立運営のもの、企業が運営している施設にも目を向けてみてください。
限られた予算で運営している公共図書館と異なり、採用枠が多く取られていることもあるようです。
地方自治体の職員を目指す場合も、自分が住む自治体だけでなく近隣の自治体の求人も確認することで、チャンスを増やすことができるでしょう。