心理カウンセラーは仕事ないって本当?実態を徹底調査
少なかった心理カウンセラーの求人は増加傾向にある
日本では心理カウンセラーの仕事は多くない状況が続いていましたが、現在は増加の傾向にあります。
「心理カウンセラーには仕事がない」という意見を見かけたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
以前は日本で心理カウンセリングの重要性が認識されておらず、求人があまりない状態が続いていました。そのため、今も仕事がないと思っている人もいるようです。
しかし、以前と異なり、日本での心理カウンセラーの需要は高まり、仕事は増加の傾向にあります。
実際に求人情報サイト「求人ボックス」のデータを参照すると、心理士の正社員求人件数は2022年1月には約15,000件でしたが、2022年12月には20,000件以上にまで増加しています。
出典 求人ボックス 給料ナビ
なぜ心理カウンセラーの求人が増加傾向にあるのかを知るため、
心理カウンセラーの需要について、実態調査をおこないました。
心理カウンセラーの需要は高まっている
日本もアメリカやほかの先進国と同様、心理カウンセリングの必要性が高まってきています。
なかでもコロナ禍の影響で心の不調を訴える人が増加し、心療内科など心のケアの専門機関はパンク状態に陥りました。
OECD(経済協力開発機構)の調査では、日本でうつ病と推定される推定人口は2013年には7.9%でしたが、コロナウイルスの感染が拡大した2020年には17.3%へと大きく増加しています。
つまり、人口の約5.9人に1人が何らかの心理的ケアを必要としている可能性があるのです。
また、最近は子どものストレスや心の問題が深刻化しており、自殺など自分の命に関わる行動が社会問題化しています。
多様な課題解決に向けて、さまざまな公的機関と連携できるカウンセラーが、今後は求められるでしょう。
出典 OECD Policy Responses to Coronavirus (COVID-19)
心理カウンセラーの仕事は多様化している
心理系の仕事は多様化しており、特に医療や学校などの公的機関で働くケースが増加しています。
心理職の一例
職種 | 仕事内容 |
---|---|
スクールカウンセラー | 学校で児童(生徒)や教職員、保護者を支援する |
産業カウンセラー | 民間企業で活躍。働く人の課題解決を支援 |
チャイルドカウンセラー | 子どもの悩みや心の問題と向き合う |
SNSカウンセラー | SNSを通じて相談者を支援する |
メンタルケア心理専門士® | 幅広い知識を用いてアプローチをおこなう |
臨床心理士 | 臨床心理学に基づいてメンタルケアをおこなう |
公認心理師 | 医療や教育機関で心理的助言や指導をおこなう |
精神保健福祉士 | 精神に障害を持った人々の社会復帰を促す |
など
※チャイルドカウンセラー、産業心理カウンセラーは日本能力開発推進協会(JADP)でも資格取得可能
※メンタルケア心理専門士®は上級認定資格
※公認心理師は名称独占資格
カウンセリング方法も対面やオンラインなど多岐にわたり、ライフスタイルに合わせやすい選択肢が増えました。
誰でも気軽に相談できるシステムが浸透してきているため、国内でも欧米並にカウンセリングが身近なものになるでしょう。
仕事がないはウソ!仕事内容と活動領域・就職先について
心理カウンセラーの仕事内容と活動領域について解説します。
産業カウンセラーとして一般企業へ就職する
産業カウンセラーとは、一般社団法人日本産業カウンセラー協会が認定する心理職の民間資格を持つ人を指します。
一般企業などの労働現場で心理カウンセリングや研修をおこない、社員自らが問題を解決できるようサポートするのが役目です。
産業カウンセラーの仕事内容
- メンタルヘルス対策
- キャリア開発
- 職場の人間関係の開発
産業カウンセラーは、常勤や非常勤、パートやアルバイトなど多様な働き方ができます。
資格を取得しなくても就職可能ですが、総務スタッフなど職種によっては資格保有者が優先されることがあります。
さらに詳しく 産業カウンセラーの資格取得
スクールカウンセラーとして学校へ就職する
学校などの教育現場に在籍し、スクールカウンセラーとしてキャリアアップすることができます。
スクールカウンセラーとは、生徒(児童)や保護者、教職員の相談やメンタルケアをおこなう職業です。
カウンセリングのほか、教職員向けのコンサルテーションやカンファレンスもおこないます。
スクールカウンセラーの仕事内容
- 生徒や児童、保護者、教職員のカウンセリング
- 不登校や問題行動などの対応の仕方を教職員に指導するコンサルテーション
- 教育関係者で情報共有をおこない、課題解決に向けて話し合うカンファレンス
スクールカウンセラーとして働くために、臨床心理士や公認心理師の資格を取得するケースが多くみられます。
臨床心理士・公認心理師の資格取得が条件に指定されている求人も多いため、ぜひ受験を検討してみてください。
患者のメンタルケアのため医療・介護従事者になる
病院や介護施設でも、心理カウンセラーは重要な存在です。
病院の医師や医療関係者と連携をとり、心に不調を抱えた患者のカウンセリングや、家族と治療の話し合いを進めていきます。
心理カウンセラーが働く場所は心療内科に限らず、小児科や内科、産婦人科など多岐に渡ります。
医療機関の求人でも、スクールカウンセラーと同様に臨床心理士や公認心理師の資格が応募条件になっている場合が多いようです。
心理カウンセラーとして独立する
一般企業や施設にも就職せず、心理カウンセラーとして独立開業する方法もあります。
開業する際は、心理的知識のほか集客や経営などマーケティングスキルも必要です。
カウンセリング職は、資格を取得すればすぐに仕事を受注して収益化できるわけではありません。
まずは会社員として一般企業や教育現場などで心理職の実務経験を積み、在籍中に人脈を作ってからの独立をおすすめします。
また、独立前に集客用のホームページやSNS、ブログなどの情報配信媒体も用意しておきましょう。
資格を取得せずに心理カウンセラーを名乗ることも可能ですが、カウンセリングの技術を持たないカウンセラーに依頼したいと思う相談者は多くないでしょう。
独立したいと考えている方こそ、心理カウンセラーとして信頼されるために資格の取得が重要といえるでしょう。
関連記事 職場別!心理カウンセラーの平均給料・年収
心理カウンセラーの将来性とは?
心理カウンセラーの将来性について解説します。
今後はさらにカウンセリングの需要が増える見込み
深刻な悩みや心の不調を訴える人は増加傾向にあり、低年齢化が進んでいます。
近年は子どもの不登校やいじめ、自殺問題など深刻なケースが相次いでおり、心理カウンセラーによる対応が急がれています。
社会の複雑化にともない、今後は子どもの心理的アプローチもできる人材に需要が集まるでしょう。
また、問題視され続けている社会人のメンタルヘルスケアに関しても需要が高まっていくでしょう。
平成26年6月の労働安全衛生法改正では、従業員数50人以上の企業に対してストレスチェックの実施を義務付けました。
国がメンタルヘルス改善を進めていることからも、カウンセリングの機会が増加することは明らかでしょう。
関連記事 心理カウンセラーの需要と就職事情
心理カウンセラーの将来性は期待できる
心理カウンセラーは非常勤など非正規雇用が大半を占めます。
しかし、国が法改正などによってメンタルヘルスケアを推進していることから、今後の稼働は増していくことが予想されます。
そのため、心理カウンセラーへの社会的な需要を満たすために、将来的に雇用体制が見直されるでしょう。
特に難易度の高い資格取得が必要な職業は、正社員登用が増加し、雇用が安定すると考えられます。
心理カウンセラーの年収はどのくらい?給料実態を調査
心理カウンセラーの給料実態について解説します。
会社員は年収300万円~400万円が相場
企業で雇用されてカウンセラーとして働く場合、企業の規模などにもよりますが、平均的な年収は300~400万円といわれています。
一般企業と福祉施設でも年収は大きく違ってきます。
企業で活躍する心理カウンセラーのなかには、週に何回などの雇用契約をして、業務にあたる場合も多いです。
副業で企業カウンセラーをしたり、いくつかかけ持ちで契約したりと、働き方により年収は大きく変わるでしょう。
独立開業の場合は年収1,000万円超も!
心理カウンセラーとして活躍するために、独立開業をする方も増えています。
フリーランスになることで、やりたい仕事が自由にできるようになり、1,000万円以上の高所得をえられる可能性もあります。
心理カウンセラーになるための方法
心理カウンセラーになるための学習法をご紹介します。
通学制もしくは通信制大学、大学院で学ぶ
臨床心理士や公認心理師は、大学や大学院の卒業(履修科目修了)が受験資格となります。
取得するためには時間と努力が必要になりますが、そのぶん社会的な信頼性も高く、就職・転職にも大いに活かせる資格といえるでしょう。
働きながら臨床心理士や公認心理師を取得したい社会人の方には、自宅学習中心で資格取得を目指せる通信制大学・大学院での学習をおすすめします。
臨床心理士
- 指定大学院または専門職大学院を修了する
公認心理師
- 大学で指定科目を履修・卒業した後、大学院にて指定科目を履修する
- 指定施設にて2年以上の実務経験を積む
通学スクール・通信講座で学ぶ
心理カウンセラー資格を取るなら、通信教育や民間スクールで勉強する方法があります。
とくに通信講座は、自分のペースに合わせて在宅で勉強することができるので、おすすめです。
以下の資格は、約2〜4ヶ月の受講期間で取得できます。
- メンタル心理カウンセラー
- メンタルケアカウンセラー®
- メンタルケア心理士®
- 産業心理カウンセラー
通信講座の費用は、30,000円〜40万円前後と幅広く、資格の種類や受講期間によって変動します。
支払い負担が軽くなる月賦払いの講座も多いので、ぜひ検討してみてください。
まとめ|メンタル心理カウンセラーに仕事はないはウソ!
日本の心理カウンセリングは信憑性が乏しく、欧米と比較して需要も少ないことから、将来性がないといわれてきました。
しかし、不安定な社会から心の不調を訴える人が急増し、現代は多方面から支援ができるカウンセラーが求められています。
民間の心理カウンセラー資格よりも、難易度の高い国家資格が必要な心理職も出現し、今後は雇用の安定が期待できるでしょう。
心理カウンセラーを目指すなら、通信講座を活用した学習や資格取得がおすすめです。
さまざまな分野でカウンセリング業務を経験し、積極的にキャリアアップへつなげてみてください。