ITエンジニアとは?
IT(Information Technology)は今や現代社会に欠かせないものとなっています。ITエンジニアは、プログラミングやシステムの設計、開発、運用などを通じて、こうしたITシステムを作り支える仕事を指します。手がけるシステムの種類や機能によって、職種が細かく分かれています。
ここでは、ITエンジニアとして活躍された資格ソムリエの林さんに、実際にしていた仕事や取得した資格からITエンジニアの仕事の種類やおすすめの資格までを教えていただきました。
ITエンジニアとしてどのような仕事をしていましたか?またどのようなIT資格を取得しましたか?
私がITエンジニアになったのは、大学を卒業した2003年でした。2000年代初頭の当時はITが急速に普及していた頃で、福祉系の大学に通いつつも独学でパソコンを学び、アルバイトでちょっとしたパソコンの初期設定などを行っていました。その延長線上で、実は就職前に「初級システムアドミニストレータ」、現在の「ITパスポート」のような位置づけの試験に合格していました。
卒業後は正式にITエンジニアとなり、販売・会計・給与といった業務ソフトの開発や導入支援に携わることに。会社で資格取得が推奨されていて、手当が出ることもあって、現場でお客様への対応をしながら、基本情報技術者、応用情報技術者辺りの、IT全般に関する資格を取得していきました。
その後、どのようにステップアップしていきましたか?
▼林さんのIT系資格取得履歴
年齢 | 主な業務 | 取得した資格 | 資格手当や一時金など |
---|---|---|---|
20 | 学生 | ・初級システムアドミニストレータ | なし |
23~24 | 現場エンジニア |
・基本情報技術者 ・ソフトウェア開発技術者 |
各資格、一時金1~3万円ほど |
30代前半 | 本部エンジニア |
・情報セキュリティスペシャリスト ・データベーススペシャリスト ・ネットワークスペシャリスト ・ITサービスマネージャ ・プロジェクトマネージャ ・ITストラテジスト |
各資格、一時金5~10万円、月次手当5千円~1万円 |
30代後半 | 本部エンジニア&副業 |
・kintone認定 アソシエイト ・kintone認定 アプリデザインスペシャリスト ・システム監査技術者 ・ITパスポート |
システム監査技術者:一時金10万円、月次手当1万円 |
40代~ | 独立 |
・G検定 ・AI検定 ・AI・IoT基礎検定 ・コンピュータサービス技能評価試験 情報セキュリティ部門 他 |
なし |
現場で3年お客様への対応をした後は、本社に移動して製品の開発・研修講師・現場支援のツール作成などに10年以上携わりました。製品の開発に直接関わると、データベースをはじめ技術的な知識は一層深く知っておく必要があります。また、研修講師や現場支援のためには、幅広いIT関連の知識が求められますし、それをわかりやすく伝えることも必要です。こういったことから、応用情報技術者よりも先の「高度情報処理技術者試験」と呼ばれる各分野のスペシャリストの資格を取得していきました。データベーススペシャリスト、ネットワークスペシャリスト、プロジェクトマネージャーなど、それぞれの分野の専門性が役立つのは言うまでもありません。
さらに、複数分野の専門的な知識をまとめて持っていることはそれ自体がオンリーワンの存在につながります。困ったときにはとりあえず林、という感じで頼ってもらえるようになりました。
各資格の勉強は、基本的には市販のテキストを利用。情報処理技術者試験は、一部のマイナーな区分を除けば市販の教材が豊富なので、自分にあうものを見つけることができると思います。なお、高度情報処理技術者試験で論文がある区分は、会社で資格学校の講座を割引受講できたので、論文の添削をしてもらったりしました。
現在は、社労士など別の職種で活躍されていますが、IT資格が役立っていると感じることを教えてください。
IT資格があることで、ITにも詳しい社労士だというのをしっかりアピール出来ていると思います。
情報処理技術者試験で最難関に位置づけられる、システム監査技術者やITストラテジストを持っていますので、驚かれることも少なくありません。そういったこともあってか、私の場合は東京都社会保険労務士会のデジタル・IT化推進特別委員を務めることになり、今年度からは全国社会保険労務士会連合会の情報セキュリティ部会の委員にもなりました。ITの知見がなければ、こういった機会をいただくことは難しいものだと思いますので、大変役に立っていると思います。
実務の面でも、ITの知見は役立っています。近年は、どんな仕事にもITとの関わりが避けられなくなっています。それは社労士が関わる多くの企業についても同じ。ITを使いこなすことができれば、顧問先の会社を良くするお手伝いができますし、自分たちの業務も効率的に行えます。実際に、各種のITツールを使いこなすことで、開業時から完全テレワークでの事務所運営を行っていますし、顧客企業のIT化もお手伝いしています。
未経験からITエンジニアを目指す人がまずやるべきこと、取るべき資格はなんですか?
未経験からITエンジニアを目指すのであれば、まずはITパスポート試験の合格を目指すのがおすすめです。
ITパスポートは、ITという名称が入っていますが、実は非常に幅広い内容を学びます。技術的な要素(テクノロジ系)はもちろんあるのですが、実際には半分以上がそれ以外のマネジメント系・ストラテジ系の範囲。ITエンジニアといっても、ITだけが分かればいいのではなく、人や仕事にどう活用してもらうのか想像できなければ良い仕事は出来ません。そこで、専門的な内容よりも、まずは基礎的なITと周辺知識を学ぶべきだと考えており、ITパスポートはうってつけだと思っています。
ITパスポート試験をはじめとした、情報処理技術者試験は、6割程度が合格基準になっているので分からない分野があっても合格することは十分に可能です。ただ、ITエンジニアを目指すのであれば、満点を目指すくらいでITパスポート試験対策をしっかりと行いましょう。最低限の内容に絞って合格を目指すテキストなどもあると思いますが、仕事としてITに関わり、専門性を高めていくつもりであれば、基礎をしっかり学んでおくのは重要です。内容面で充実したテキスト等を選定して、ちゃんと勉強すると後が楽になるのではないかなと思います。
今おすすめのIT職種はなんですか?また、その理由は?
今おすすめは、情報処理技術者試験の区分の1つにもなっている「ITストラテジスト」です。
ITストラテジストは、ITを戦略的に活用して企業の役に立てるための専門家。DXを推進するためには、無くてはならない存在といえるでしょう。実際に注目度も高いようで、私が昨年LEC東京リーガルマインドでリリースした講座は、思ったよりも多くの方に受講いただいています。
また、生成AIが急速に普及する中で、AIを正しく理解し、上手に使いこなすことも重要になりつつあります。AIの基礎は「G検定」で学べる他、生成AIに対して上手に指示を出す「プロンプトエンジニアリング」が注目を集めており、関連資格も今後出てきそうです。
ITエンジニアの種類は?おすすめ資格と難易度
ここでは、 ITエンジニアの種類とおすすめの資格、難易度をご紹介します。
ITエンジニア全般向き
▼おすすめ資格
資格名 | 難易度 | 区分 |
---|---|---|
ITパスポート | ★ | 国家資格 |
基本情報技術者試験 | ★★ | 国家資格 |
応用情報技術者試験 | ★★★ | 国家資格 |
高度情報処理技術者試験 | ★★★★ | 国家資格 |
幅広い試験区分がある、情報処理技術者試験。エンジニア全般にオススメできます。中でも技術者向けなのは基本情報技術者試験以降ですが、ITと関連分野を広く学べるITパスポートから進むのが良いでしょう。
インフラエンジニア
私たちがITシステムやインターネットを使用するためは、OS・ネットワーク・サーバーといったITインフラが欠かせません。そのITインフラの設計・構築・運用・保守に従事する技術者が、インフラエンジニアです。
インフラエンジニアは、専門別に種類に分かれており、それぞれ目指す資格も異なってきます。
1.ネットワークエンジニア
企業内で使用するコンピューターや電子機器同士をつないでネットワーク環境を構築し、運用を行うエンジニアです。
▼おすすめ資格
資格名 | 難易度 | 区分 |
---|---|---|
ネットワークスペシャリスト | ★★★ | 国家資格 |
CCNA | ★★ | 民間資格 |
CCNP | ★★★ | 民間資格 |
CCIE | ★★★★★ | 民間資格 |
2.サーバーエンジニア
コンピューターシステムを運用するためのサーバーの設計、構築、運用、管理を行うエンジニアです。
▼おすすめ資格
資格名 | 難易度 | 区分 |
---|---|---|
LinuC(Linux技術者認定資格) | ★★(レベル1)~★★★★(レベル3) | 民間資格 |
MCP(マイクロソフト認定技術資格制度) | ★★(Fundamentals) ★★★(Associate) ★★★★(Expert) |
民間資格 |
3.データベースエンジニア
システムが扱うデータを格納しておく入れ物であるデータベースの開発や設計、管理や運用を行うエンジニアです。
▼おすすめ資格
資格名 | 難易度 | 区分 |
---|---|---|
データベーススペシャリスト | ★★★★ | 国家資格 |
オラクルマスター(オラクル認定技術者) | ★★(ブロンズ)~★★★★★(プラチナ) | 民間資格 |
4.セキュリティエンジニア
情報セキュリティを専門に担当するエンジニアです。セキュリティに配慮したシステム設計や構築、システム運用などを行います。
▼おすすめ資格
資格名 | 難易度 | 区分 |
---|---|---|
情報処理安全確保支援士 | ★★★★ | 国家資格 |
情報セキュリティマネジメント | ★ | 国家資格 |
Webエンジニア
WebサイトやECサイトなどで使われるシステムの設計・開発・運用・保守を行うエンジニアです。
▼おすすめ資格
資格名 | 難易度 | 区分 |
---|---|---|
PHP技術者認定試験 | 初級★★ 準上級★★★ 上級★★★★ | 民間資格 |
オラクルマスター(オラクル認定技術者) | ★★(ブロンズ)~★★★★★(プラチナ) | 民間資格 |
▼Webデザイナーの仕事がしたい場合のおすすめ資格
資格名 | 難易度 | 区分 |
---|---|---|
ウェブデザイン技能検定 | ★★(3級)~★★★★(1級) | 国家資格 |
Webクリエイター能力認定試験 | ★ | 民間資格 |
Webデザイナーの仕事は、Adobe社のPhotoshopやIllustratorなどのデザインソフト等で見た目を設計していく他にも、HTMLやCSSといった言語を利用して静的なサイト制作をおこなっていきます。
ここからさらにJavaScriptといった言語を利用し動きのある機能の実装をおこなったり
、PHPといった言語を利用してWebサイトやWebアプリケーションの開発は、エンジニアが請け負う領域となっています。
関連記事 Webデザイナーになるには?仕事内容や必要スキル、資格や給料について解説!
AIエンジニア
AIを使用するシステム開発やデータの解析をするエンジニアです。
▼おすすめ資格
資格名 | 難易度 | 区分 |
---|---|---|
G検定 | ★ | 民間資格 |
E資格 | ★★★ | 民間資格 |
幅広い基礎知識を問うG検定に対して、E資格はディープラーニングの理論を問う問題がメインで専門的な内容となっています。まずはG検定で基本を学んでみるのが良いでしょう。
関連記事 AIとは?関連資格や仕事・職種や年収についても解説!
ITエンジニアが目指せるおすすめスクール
パソコンスクール アビバ(通学/全国)
高い受講満足度!初心者でも安心
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ヒューマンアカデミー DX講座(通学/全国)
目指すなら、新しい「価値」を創造するDXエンジニア
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システムアーキテクチュアナレッジ(通学/関東)
就職に強い技術指導を行うIT技術専門スクール
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KECコンピュータ学院(通学/関西)
科学的学習システムを活用した実践プログラム!
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Webデザイナーを目指せるおすすめスクール
ヒューマンアカデミー / 通信講座 * 『たのまな』(通信)
初心者でも安心して学習ができる!副業に人気の知識を習得!
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デジハリ・オンラインスクール(通信)
スキルが身につく本格的オンラインスクール
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パソコンスクール アビバ(通学/全国)
全国に広がる開講拠点!就業サポートも充実!
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ヒューマンアカデミー(通学/全国)
教育訓練給付制度対象講座あり!未経験の方のためのWebデザイン講座
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