中小企業診断士と税理士の資格の共通点とは?
どちらも国家資格であり、顧客が「中小企業」で「コンサルティング」業務を行う点も共通!
中小企業診断士は、財務、会計、企業の運営や経営に関する豊富な知識で、企業を支援する経営コンサルタントです。
一方、税理士は税務に関する専門家であり、クライアントに代わり税金額の計算を行ったり、税務申告を行ったりします。
また、税金に関する相談も請け負います。
同時に税理士は、経営面・会計面のコンサルティング業務を行うことも大事な役割として持っています。
さらに、税理士の顧問契約を締結する主なクライアントも中小企業診断士と同じく中小企業であるため、クライアントを訪問し、代表者や経理担当者とコミュニケーションを取ることで、相談に乗る、改善案を提案するなどのコンサルティング業務を行います。
クライアントが抱える課題はさまざまです。
「資金繰りを改善するには具体的にどうするべきか」、「最適な節税対策は何か」、「コストカットが可能な部分はどこか」といったように、内容が多岐にわたるため、厳密に言えば専門分野は異なりますが、「主なクライアントが中小企業であること」、「コンサルティング業務に携わる」という点は共通していると言えます。
中小企業診断士資格に税理士の資格があることで得られるメリットは?
(1)資格取得時のメリット:学習時間を短縮できる!
ここからは、税理士の資格を先に取得し、中小企業診断士とのダブルライセンスを狙う場合のメリットについてお話しします。
税理士の資格を先に取得していた場合、中小企業診断士の試験に向けての学習する上で有利になることが考えられます。
中小企業診断士の1次試験の7科目のうち、1科目が「財務・会計」です。中小企業診断士の試験では「財務・会計」を多くの受験者が苦手科目にしがちです。
しかも、この科目の通常の学習時間は200時間と言われています。
この「財務・会計」の内容は、簿記(アカウティング)とファイナンスの2つに大きく分けることができますが、税理士の資格を取得するために学ぶ内容にも、「簿記論および財務諸表論」など、会計学に属する科目があるのです。
そのため、事前に会計学の知識を持っていることで、「財務・会計」の一般的な学習時間である200時間を50時間程度まで抑えることができ、平均総学習時間といわれている1,000時間を800~850時間程度まで削ることができるとも言われています。
つまり、税理士は会計学の知識を前もって身につけているため、中小企業診断士の試験における1次試験の「財務・会計」、第2次試験の「事例IV(財務の事例)」などの学習時間を大幅に削減することができるのです。
さらには「財務・会計」を得点源にできることになります。
(2)業務上でのメリット:税務や経理面からのアドバイス・提案もできる!
通常、中小企業の多くが最初のコンサルタントとして税理士と契約を結ぶことが多いのはご存じでしょうか。
これは、どんな小さな企業であっても、年に1度は決算、そして納税が発生するためです。
この観点からも税理士の資格は、中小企業との契約の足掛かりとして役立つ資格であることが分かります。
さらに、中小企業診断士として専門とする経営面のコンサルティングだけでなく、税理士の資格を同時に保有していることで、税務や経理の面からの提案が可能になります。
小さな企業では複数のコンサルタントを雇えないということもよくありますが、ダブルライセンスを取得していることにより、税理士としても中小企業診断士としても働くことが可能になり、多角的な視点からの診断や提案が可能になります。
こうしたことから、中小企業はもちろん、新規で起業をしようとする起業家の方へ幅広い面の支援が可能になり、他者との差別化へとつながります。
また、税理士会は金融機関(地方金融機関も含む)や地方公共団体とのつながりを持っています。
そのため、それらの機関・団体が行う中小企業支援を活用する案件を請け負うこともできます。
まとめ
当ページでは、中小企業診断士の資格と、税理士の資格の共通点についてご紹介いたしました。
中小企業診断士と税理士の共通点は、いずれも国家資格である点や、顧客が中小企業でコンサルティングを行う点などがあります。
また税理士の資格を有する場合、中小企業診断士の資格取得時に学習時間短縮ができる点、業務上では税務や経理といった面からのアドバイス・提案ができるようになるというメリットもあります。
税理士の資格を既にお持ちの方で、中小企業診断士の資格取得をご検討されている方はぜひ参考にしていただければ幸いです。
また、中小企業診断士、税理士のいずれの資格もお持ちでない方も、この機会にぜひ両資格の取得をご検討されてみてはいかがでしょうか。