宅建士(宅地建物取引士)資格は不動産業だけでなく、金融機関や一般企業などでも重宝されています。宅建士になるための試験は毎年10月に実施されており、20万人前後が受験する人気の国家資格試験です。この記事では、宅建士試験について試験科目と内容、難易度、民法改正の試験への影響などを詳しく解説します。宅建士を目指している方はぜひ参考にしてみてください。
民法改正が試験に与える影響
2020年4月から施行される民法は120年ぶりの大改正です。2020年10月から改正後の民法で出題されますので、民法の改正内容についても対策が必要です。
最も大きな改正点は、民法制定以来ほとんど見直されていなかった債権法に関する内容です。
債権法とは、契約等に関する最も基本的なルールを定めた部分で、現在の社会経済に対応した法律へ改正するとともに、裁判の判例などをもとに実務で運用されている事項を明文化するために見直しが行われます。
実際に宅建士試験に関係する改正の一部について内容を確認
●保証人の保護に関する改正
一定の範囲に属する不特定の債務を保証する契約を「根保証契約」と言い、限度額の定めのない個人の根保証契約は改正後の民法では無効となります。
住宅等の賃貸借契約に関わる保証人契約が「根保証契約」に該当することもありますが、保証人が支払う限度額に上限を設けなければ保証契約自体が無効です。
●賃貸借契約に関するルールの見直し
賃貸借契約とは賃借人が賃貸人へ賃料を支払って物や不動産などを借りる契約です。賃貸借契約について以下のような改正が行われました。
・賃借物の修繕に関する要件の見直し
・賃貸不動産が譲渡された場合のルールの明確化
・賃借人の原状回復義務及び収去義務等の明確化
・敷金に関するルールの明確化
特に大きな改正点は賃借人の原状回復義務や敷金に関するルールが明確化された点です。
今回の改正により、「通常損耗や経年変化による損傷や損耗は賃借人に原状回復義務がないこと」「敷金の名目で賃貸人が預かった金銭は賃貸借契約の終了後に返還する義務が生じること」が明記されました。
●売買契約に関するルールの見直し
改正民法では、売買の目的物が契約内容と異なっている場合、「売主に対して契約の解除や完全な契約履行を求めること」「代金の減額請求ができること」が明記されました。
どこまで売主に対して請求できるかは、契約の内容と異なった責任が売主と買主のどちらにあるかによって決まります。
試験への影響
基本的に、宅建士試験は基本事項と過去問を重点的に学習する方法が合格への近道と言われていますが、過去問で出題されている内容を新しい論点に置き換えた問題などが出題される可能性もあるため、改正前に比べると改正論点に重点をおいた学習が必要です。
民法改正が行われる前の2019年度に受験すると過去の学習内容を活かせるため、改正論点の学習も不要になります。2020年度以降の宅建士試験を受ける方は民法改正による大きな影響に注意してください。
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