11月13日、厚生労働省の有識者委員にて「理容師・美容師の養成のあり方に関する検討会」が開かれました。美容師・理容師のいずれか一方の資格を持った方が、もう一方の資格を取得しやすくするため、養成課程のあり方や国家試験の内容について見直しを行うということです。
資格取得方法はどう変わっていくのか!?理容師・美容師の両資格を取得することのメリットは!?下記で詳しく見ていきます。
美容師・理容師の資格取得方法について
美容師・理容師の資格は、それぞれに対応した養成施設(理容学校・美容学校)を卒業し、国家試験に合格することで取得できます。養成施設の修業期間は、昼間課程で2年、夜間課程で2年〜2年半、通信課程の場合は3年となっています。
美容師の資格を持っている方が理容師の資格を取得しようとする場合(あるいはその逆の場合も)、現行の制度では、養成施設で一部の重複課目の履修が省略されるものの、初めて資格を取得しようとする場合とほぼ同じカリキュラムを受講する必要があります。また、国家試験についても試験科目の免除などはなく、資格をお持ちでない方と同様に受験する必要があります。
美容師・理容師、2つの資格を取りやすくする方法は?
検討会では、美容師または理容師のいずれか一方の資格を持っている場合、養成課程の一部科目を免除することや、国家試験において、美容・理容に共通する部分の取扱いの見直しなどが議論されています。
現行制度でも、養成課程における「関係法規・制度」「衛生管理」「保健」「物理・化学」については履修を免除することができることとされていますが、養成施設の修業期間が2年以上と定められており、資格取得までの時間は短縮されません。先述の課目以外にも履修を免除できる課目がないか、実務経験を考慮して実習の必要単位数を減らせないか、養成施設の修業期間を短縮できないかなど、両資格の取得を目指す方の負担を軽減する方向で現在話し合いが進められています。
美容師・理容師の違いは?2つの資格を取得するメリットは?
美容師と理容師は業務の範囲に違いがあります。髪のカット・パーマができる点についてはおおむね共通ですが、理容師は顔そり(シェービング)が行える一方、美容師は化粧に付随する程度の軽い顔そりしか認められていないこと、ヘアセット・メイクは美容師の業務範囲とされており、理容師の業務範囲に定められていないことなどが違いとして挙げられます。
認められる業務範囲にいくつかの違いがある美容師・理容師ですが、前述のとおり一方の資格を取得していることがもう一方の資格を取得するうえで有利にならない上に、美容室・理容室の兼業が法律で認められておらず、これまで美容師・理容師の両資格を取得するメリットがほとんどありませんでした。そのため、美容師の資格取得者が約48万8千人、理容師の資格取得者が約23万4千人 いるのに対し、美容師・理容師の両資格の取得者は約1万2千人にとどまっています。
しかし規制緩和により、2016年4月からは従業員全員が美容師・理容師の両資格を持っていることを条件に美容室・理容室の兼業が認められるようになります。これにより、美容室がシェービングのサービスを提供できるようになったり、理容室でもヘアセットが行えるようになったりと、店舗で提供できるサービスの幅が広がり、利用者にとっても利便性が高まる見込みです。
有識者委員では美容師・理容師の両資格を取得する方法について今後も議論を重ね、2016年8〜9月をめどに案をまとめる予定です。
参考URL
▽厚生労働省『理容師・美容師の養成のあり方に関する検討会』資料
「規制改革実施計画の内容(抜粋)」
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000104020.pdf
「検討に当たっての主な論点(案)」
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000104021.pdf
「理容師・美容師制度の概要等について」
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000104023.pdf